研究期間を通じて、抗生物質パンコマイシンを多数結合した「マルチバレントポリマー」の新規合成法開発と耐性菌に対する抗菌性向上を追求してきた。まず、バンコマイシン耐性菌に有効な抗菌ポリマーの合成を達成した。バンコマイシンオリゴマーの重合度を自由に制御する事が可能になった。続いて、これらのポリマーの抗菌性向上が耐性細菌の細胞壁との親和力向上に起因することを、表面プラズモン共鳴法を用いて定量的に証明した。さらに、薬剤として必要な水溶性などを付与する為、キメラ型の共重合体を合成した。しかしながら、重合度の推定は従来ポリアクリルアミド電気泳動法によっており定量性、効率の両面に問題が残っていた。 動的光散乱装置を導入し分析法の改善を目指した。合成したポリマーをジメチルスルホキシド溶液としストーク半径の測定をおこなったところ、予想される重合度との間によい相関が見られた。すなわち、光散乱法を用いれば迅速に重合度を決定できる。 一方で、異常型プリオンタンパク質の蓄積を阻害することを目的に、集積型阻害剤の設計と合成をおこなった。これらの生物活性試験については現在検討中である。 また、抗腫瘍性をねらって血管新生を抑制する集積ポリマーの合成をおこない、機能評価をおこなった。
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