研究概要 |
生きている細胞内を顕微操作しつつ、生体分子や分子複合体の反応を1分子・実時間計測するための光学顕微鏡「細胞内1分子計測顕微鏡」を開発することが本研究の目的である。 本年度は、細胞内1分子計測顕微鏡のプロトタイプの組み立てを行った。組み立てた装置は以下のような特徴を持っている。 (1)細胞内1分子可視化のため対物レンズ型の全反射光学顕微鏡法を用いている。 (2)全反射蛍光法の光源としてKr-Arレーザ(488nm,568nm,647nm)とSHG-Nd/YAGレーザ(532nm)を利用する。 (3)検出形に新たに設計したtriple-view光学系を組み込んでおり、上記(2)と合わせて様々な蛍光色素の同時観察に対応できるようになっている。 (3)長時間イメージングのためタイムラプスカメラシステムをもつ。 (4)ハロゲンランプによる通常の落射照明系とレーザーによる全反射照明系を同時に使用することができる。これによって、例えば落射照明系で細胞内カルシウム濃度を測定しながら、全反射系で情報伝達分子の1分子観察をおこなうことができる。あるいは、落射照明系をケージド化合物の光解除に使うなどの応用も可能である。 現在、培養細胞を用いて、細胞内情報伝達測定を行うための基礎データを集積している段階である。
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