研究課題/領域番号 |
12558088
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩坪 威 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (50223409)
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研究分担者 |
西沢 幸夫 エーザイ(株), 筑波探査研究所・バイオロジーユニット2, ユニット長(研究職)
富田 泰輔 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30292957)
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キーワード | アルツハイマー / βアミロイド / 膜結合型コラーゲン / CLAC |
研究概要 |
本研究者らがアルツハイマー病(AD)脳老人斑から蛋白化学的に同定した新規コラーゲン様アミロイド結合蛋白CLACがAβの凝集に与える影響とその分子機構についてin vitro実験、遺伝子改変動物を用いて検討し、治療標的としての可能性を探った。CLAC前駆体(CLAC-P)を発現する培養細胞の上清中に分泌される可溶型CLAC (sCLAC)をヘパリンカラムなどを用いて精製する方法を確立した。sCLACと合成Aβペプチドの混和実験により、sCLACはin vitroでAβの凝集を抑制する作用があることを示した。またCLAC-Pのコラーゲン配列を部分改変した変異体を作製し、上記の混和実験を行うことにより、CLACはその塩基性アミノ酸クラスターを介してAβと結合することを示した。またダウン症脳を用いた経時的観察により、CLACの蓄積はAβ42の蓄積より遅れるが、Aβ40の蓄積に先行して生じること、チオフラビン・Aβ40陽性斑とCLAC陽性斑は異なるサブセットを形成することを示した。Thy-1 promotorを用いて脳にCLAC前駆体を発現するトランスジェニックマウスの作出に成功した。今後CLAC-PトランスジェニックマウスとAPPトランスジェニックマウスの交配により、CLAC蓄積がin vivoでアミロイド蓄積に及ぼす影響につき検討を進めるとともに、患者脳脊髄液などの生体試料を用いて診断マーカーとしての可能性についても検討する予定である。
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