研究課題/領域番号 |
12558088
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩坪 威 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (50223409)
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研究分担者 |
西沢 幸夫 エーザイ株式会社, 基礎研究本部・バイオロジーユニット, ユニット長(研究職)
富田 泰輔 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30292957)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | アルツハイマー / βアミロイド / 膜結合型コラーゲン / CLAC |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)に最も特徴的かつ重要な病理学的変化は老人斑アミロイドとしてのアミロイドβペプチド(Aβ)の蓄積であるが、老人斑にはAβ以外にも多くの蛋白成分が局在し、その形成過程やADの病態に様々な影響を与えていることが判明しつっある。中でもAβに結合するアポリポ蛋白Eの遺伝多型がAD発症の遺伝的危険因子として確立されており、in vivoでもAβの凝集蓄積を促進する。アポE、補体成分、アミロイドP成分などの既知の成分に加えて、老人斑を構成する未知の蛋白因子としてAmy抗原あるいは9D2抗原と呼ばれる分子が注目を集めてきた。これらは米国のTrojanowksi/Leeら、そして我々が独立にAD脳の不溶性画分を抗原として樹立したモノクローナル抗体が老人斑アミロイド上に認識する分子量50〜100kDaの新規蛋白質と考えられた。我々は本研究の成果として新規のコラーゲン様膜蛋白CLAC-Pを同定することに成功した(Hashimoto et al. EMBO J, 2002)。CLAC-Pは細胞外部分がコラーゲン様構造を持ち、恰もスカベンジャー受容体A型に類似した構造を呈していた。その細胞外部分がfurin convertaseの作用によって切断・分泌され(sCLAC)、アミロイドに結合すること、リコンビナントsCLACはAβの凝集を抑制することなどが判明しつつある。また本研究の成果として、CLAC-Pを神経細胞に高発現するトランスジェニックマウスの樹立にようやく成功した。APPトランスジェニックマウスとの交配実験に入りつつあり、in vivoにおけるCLACのアミロイド形成過程に対する影響も早晩解明できるものと考えられる。これらの研究成果はβアミロイド形成機構の解明とそれを標的とするADの新規診断・治療法の開発に向けて重要な貢献をなすものと考えられる。
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