研究概要 |
本研究では、2つの高感度モニタリング法を研究した。 1 リングディスク金薄膜-Os-HRP電極による過酸化水素の高感度測定-HPLC-ECD法による微小透析液中のアセチルコリン、コリンの測定 これまでのアセチルコリン測定と異なり、金の薄膜にOs-HRPを共有結合させ、過酸化水素を測定した。そのため、HPLCで用いる溶媒によって固定化酵素が剥離され難くなり、高感度な条件で2週間以上測定が可能となった。この方法を用いれば、脳内の微小透析はアセチルコリンエステラーゼの阻害剤を用いない、生理条件に近い状態で行うことが可能となった。また、集めた透析液の一部はドパミン、ノルエピネフリン、セロトニン及びそれらの代謝物、DOPAC,5HIAAも同一サンプルで測定が可能となった。 このアセチルコリン、コリン測定方法を用い、アルツハイマー型早期痴呆症モデルを用いた研究を行った。MK-801はNMDA受容体阻害剤であるが、細胞死の抑制の他、ラットに高濃度投与すると、記憶障害を伴った統合失調症を引き起こすとされている。そこで、雌ラットに0.5mg/kgMK-801を体性投与し、前頭皮質、後部帯状回/後部後頭皮質における微小透析を行い、両者に著しい差を見つけた。この差が、脳障害の原因と推察した。 2金薄膜-Os-HRP-酵素固定型フローモニタリング法の確立 金薄膜状にOs-HRP-ポリビニルピラジンを結合させ、更にその上にグルコースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、あるいはグルタミン酸オキシダーゼを固定化し、個々の物質をフローシステムでモニターする方法を開発した。この方法を用いて脳微小透析液中のグルコース、ラクテート、コリンを測定することが可能となった。現在この方法を用いて痴呆症モデル動物の実験を検討中である。
|