研究課題/領域番号 |
12558096
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
米田 嘉重郎 東京医科大学, 医学部, 助教授 (90074533)
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研究分担者 |
浅井 秀一 日本エスエルシー(株), 研究員
粟田 卓也 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (40184303)
金沢 真雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (10147184)
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キーワード | ラット / 1型糖尿病 / 甲状腺炎 / 膵島炎 / 橋本病 / T_3,T_4 / MHCコンジェニック |
研究概要 |
我々はAwata et al.(Endocrinology136:5731-5735,1995)の報告をもとに、BBラット(1型糖尿病モデル:RT1クラスIIu/u)のRT1クラスII領域のみをu/aに置換したコンジェニック系統を育成した。本研究は、このコンジェニック系統(BB-RT1.B^<u/a>D^<u/a>)を用い、u/u a/aおよびu/aそれぞれのタイプについて、1型糖尿病の特徴と甲状腺機能を詳細に検索し、a/aタイプの橋本病モデルとしての有用性を評価することを第一の目的とした。さらに、この系統が1型糖尿病と橋本病を同じ遺伝的背景から発症するモデルとして世界的に広く利用されるように、大量生産・供給体制の確立をはかることを第二の目的とした。平成12年度の研究実績は下記の通りである。 1.BB-RT1.B^<u/a>D^<u/a>系統のクラスIIヘテロ(u/a)の雌雄を用い系統維持を行い、大量生産システム構築のSPF化に成功し基礎集団が確立できた。 2.120日令時におけるクラスIIタイプ別(u/u、u/a、a/a)の特徴を検索した。リンパ球減少症はu/uタイプにおいて確認されたが、a/aタイプでは認められなかった。クラスIIu/uタイプでは全例に重度の膵島炎の発現と1型糖尿病の発症が認められたが、甲状腺炎は約50%でかつ軽度であった。一方、a/aタイプでは全例で重度の甲状腺炎が認められたが、膵島炎は約50%でかつごく軽度で1型糖尿病の発症は認められなかった。なお、u/aタイプでは膵島炎および甲状腺炎がともに軽度で1型糖尿病の発症も認めなかった。 3.2.と同様の動物を用いて血中T_3、T_4およびTSHレベルを測定した。血中T_3およびT_4レベルにはタイプ間で有意差が認められなかった。血中TSHレベルはa/aタイプで高値(144.65pg/ml)を示し、u/a(69.53)u/a(29.83)に比し有意であった。以上の結果から、本コンジェニック系統のクラスIIa/aタイプの個体は橋本病モデル動物として有用であることが強く示唆される。
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