研究概要 |
我々は1型糖尿病モデル動物であるBB/Wラットにおいて,橋本病を発症する系の有ることを見出してきた。本ラットはRT1クラスII領域がu/uでは膵島炎を来たし1型糖尿病を発症することを,a/aでは甲状腺炎を来たし橋本病の病態をとることを示してきた。橋本病の動物モデルは乏しく,今回の研究では,臨床に役立つ橋本病のモデル動物を大量に供給できるシステム作りと本ラットの甲状腺の特徴を明らかにすることを目的とした。 平成14年度の研究業績は以下の通りである。 1,平成12年度に確立したRT1クラスIIヘテロ(u/a)を用いて大量生産システムを確立しつつあったシステムをより多く生産できる体制にした.平成14年度に生産したラットは u/uタイプは雄82匹,雌76匹,計158匹 u/aタイプは雄94匹,雌111匹,計205匹 a/aタイプは雄28匹,雌32匹,計60匹,総合計は423匹であった。 2,戻し交配を繰り返したラットの第20番を除く染色体上のSSLPsマーカー77種全てで,第10世代においてBBラットのホモ遺伝子型に固定できた.20番染色体ではMHC領域を含む約10cM中に存在するSSLPsマーカーは未だヘテロ遺伝子型であった。 3,甲状腺炎(橋本病)の発症はa/aタイプで高頻度に認められ、その発症率は210日齢では90%以上であった。
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