研究課題/領域番号 |
12558097
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研究機関 | (財)実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
大西 保行 財団法人実験動物中央研究所, 腫瘍研究室, 室長 (70201382)
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研究分担者 |
玉置 憲一 実験動物中央研究所, 副所長 (50055860)
臼居 敏仁 財団法人実験動物中央研究所, 医薬品評価センター, センター長 (10311234)
日置 恭司 財団法人実験動物中央研究所, 飼育技術研究室, 室長 (80208735)
岡田 全司 国立療養所, 近畿中央病院・臨床研究部, 部長 (40160684)
新井 敏郎 日本獣医畜産大学, 獣医生理学教室, 助教授 (70184257)
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キーワード | H-ras / トランスジェニツク / マウス / ウレタン / 肺がん / がん予防 / ビニルカーバメート / 変異 |
研究概要 |
本研究の目的は、発がんの化学的予防に代表されるがんの一次予防と、進展の予防(がんの二次予防)を目標とした薬剤や予防法の有効性を評価するための動物実験システムを確立することである。がん易発性の遺伝子操作動物に化学発がん処置を施し再現性のあるがん発生モデルを確立した。そして、このモデルに対する発がん予防やがん進展の制御を検討できる動物実験系の検討を行った。従来、このような実験的動物モデルとしては、マウス腫瘍移植系やヒト腫瘍細胞の免疫不全動物への移植系が多く用いられてきた。しかし、これらはあくまでも移植操作を介するがんモデルであり、in situのがんでの実験モデルの確立が望まれていた。 ヒトの非活性型H-ras遺伝子を導入したトランスジェニツクマウス(rasH2マウス)にウレタンを投与することによって、極めて短期に100%肺がんが発症するモデルを開発した。この肺がん発症系に、がん発症操作前(がん予防)または操作後(がん治療)にIL6遺伝子をアデノウイルスベクターによる遺伝子導入を行い。がんの発症が抑制されるかを前年度に引き続き検討した。その結果、予防的なIL6遺伝子導入系において、肺腫瘍の発生数が有意に抑制されることが示された。この成績は、rasH2マウスに短期発がんモデルががん予防の評価を行うための動物実験系として有用であることを示唆した。 このモデルのがん発症の分子病理的機序を検討する目的で本マウスにウレタンおよびそのプロキシマル発がん物質であるビニールカーバメート投与し、発症する肺腫瘍における導入遺伝子(ヒトH-ras)、内在性K-rasおよびp53遺伝子の変異の有無を検討した。その結果、検討したほとんどの腫瘍においてヒトH-rasの変異が求められた。いっぽう、マウスのK-rasおよびp53には変異は認められなかった。
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