研究分担者 |
加納 慎一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00282103)
渡辺 高志 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90250696)
星宮 望 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005394)
半田 康延 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00111790)
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研究概要 |
脊髄損傷患者などに皮膚電気刺激により感覚フィードバックを行う際,感覚強度が被験者毎,および時間的に変動するという問題がある。この変動の原因は,発汗等により皮膚-電極間の通電状態が変化することによると推定されるため,知らせたい感覚情報だけでなく皮膚-電極間の電気的接触状態によってもパルス振幅を制御することで,皮膚-電極間の状態に影響されない安定した情報呈示が可能になると考えられる。そのために本研究では,皮膚-電極間の電気的インピーダンスと受容感覚との関連性を実験的に検討した。本年度は,皮膚-電極間のインピーダンスを抵抗2個と静電容量1個の直並列回路で近似した場合の各インピーダンスパラメータを,皮膚電気刺激を行いながら同時計測する実験システムを作成し,これを用いて具体的な刺激・知覚・計測実験を行った。電極には導電性ソリッドゲル付きAg/AgCl表面電極を用い,電極中心間距離は約4cmとし,左肩僧帽筋上の皮膚でイソプロピルアルコールにより前処理を施した部位に一組,隣接した前処理を施していない部位にもう一組を配置した。電気刺激パルスは,繰返し周波数100Hz,幅500μsの定電流パルス列とした。測定結果から,前処理を行わなかった部位よりも前処理を行った部位での絶対閾値の変動のほうが小さく,表皮角質層を剥離することにより絶対閾値の変動を抑制できることが明らかとなった。また,絶対閾値は電気刺激を行うたびに増加し,休憩すると低下するという,鋸歯状の変動を示すことが分かった。また,角質層の直列抵抗成分と絶対閾値の間には約0.3[mA/kΩ]の直線的な相関があることが分かり,絶対閾値の推定の可能性が示された。
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