研究課題/領域番号 |
12558108
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒木 勉 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50136214)
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研究分担者 |
東野 義之 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40075023)
安井 武史 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (70314408)
橋本 守 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (70237949)
山田 源 熊本大学, 動物資源開発研究センター, 教授 (80174712)
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キーワード | ナノ秒蛍光 / AGE / 組織自己蛍光 / 非線形光学効果 / コラーゲン / 老化 / ヒト歯 / 顕微蛍光測定 |
研究概要 |
本研究の目的は生体組織老化現象の研究の一環として、新しい組織老化定量診断システムを提案し、本法を用いて老化を制御する因子を探索する。本年度に新たに得られた成果を列記する。 (1) ナノ秒パルスレーザーを励起光源とした、時間分解顕微蛍光画像測光システムを開発した。奥行き方向の分解能を持っており、3次元過渡蛍光画像を収集できるようになった。 (2) ヒト象牙質切片を可溶化し、抽出溶液の蛍光スペクトルならびに時間分解蛍光減衰波形を測定した。両者の蛍光スペクトルは類似したが減衰波形はノイズのため類似性を確認できなかった。 (3) 歯牙切片ならびに抽出溶液の蛍光強度は加齢に伴って上昇した。リボースと反応させた切片からの抽出液の蛍光強度は非反応試料よりも大きくなった。AGEの存在を示すものである。 (4) 人の動脈切片について、糖尿病患者と健常のものとの蛍光を比較した。AGEは糖尿病患者で多く産生され、したがって蛍光強度も大きいと予測されたが有意な差がでなかった。さらなる検討が必要である。 (5) 象牙質、エナメル質、アキレス腱、皮膚などについて、800nmのフェムト秒パルスレーザーを照射し、400nmの第二高調波(SHG)光を得た。その強度は組織のコラーゲン含有量に比例した。また偏光特性はコラーゲン分子配向に敏感であることを見いだした。このことからSHGを利用したコラーゲン分子配向検知システムを提唱した。 (6) マイクロ波励起プラズマ発光光源の改良が完了し、フッ素の定量に成功した。環境汚染微量体元素のトレースに有効であると思われる。この装置で下記(7)の計測を行った。 (7) 人の上肢動脈のカルシウム分布を血管分岐部を中心に求め、カルシウム沈着を指標とした動脈硬化進行を考察した。その結果、血流による剪断応力が小さい部位に動脈硬化が進行しやすいとの結論を得た。
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