研究課題/領域番号 |
12558114
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
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研究分担者 |
片岡 則之 川崎医療短期大学, 臨床工学, 講師 (20250681)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
八木 明 オリンパス光学株式会社, 光学機器開発部, 研究職
岩城 完三 林原生物化学研究所, 藤崎研究所, 副主事
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キーワード | 走査型プローブ顕微鏡 / リアルタイム共焦点レーザースキャン顕微鏡 / 細胞機能 / 細胞力学特性 / 細胞骨格 |
研究概要 |
研究初年度である本年度は基本システム構築を行った。また、本システムを用いて単球接着による血管内皮細胞の機能・構造変化を計測した。 1)走査型プローブ顕微鏡は培養細胞の三次元形状、力学特性の計測が可能で、共焦点レーザースキャン顕微鏡は細胞内タンパク分布、細胞内シグナル伝達分子の観察が可能である。両者の複合化により、細胞の機能とメカニクスの同時計測が可能となるが、本研究ではとくに、ビデオレートで画像取り込みが可能なリアルタイム共焦点レーザースキャン顕微鏡を走査型プローブ顕微鏡と組み合わせた複合型計測システムを構築した。 2)上記システムを用い、培養血管内皮細胞の局所力学特性を計測した。その結果、細胞の辺縁部では核近傍と比べて弾性率が2〜3倍程度大きく、硬いことがわかった。細胞骨格成分の1つであるアクチンフィラメントの分布を観察したところ、細胞中央部には多くの繊維状の構造が観察されたが、細胞辺縁部では密集した状態で観察され、局所弾性率は細胞骨格の分布を反映したものと考えられる。 3)単球付加時の内皮細胞の力学特性を調べたところ、細胞辺縁部、核近傍ともに有意に弾性率が低下し、単球の接着によって内皮細胞が柔らかく変化することが明らかとなった。同時に内皮細胞の細胞骨格成分の1つであるアクチンフィラメントを観察したところ、顕著に減少しており、とくに内皮細胞の辺縁部で減少が目立っていた。このことは、単球の接着によって単球-内皮間になんらかの情報伝達があり、内皮細胞内構造変化をとおして内皮細胞の変形能を上昇させたのもと考えられる。
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