研究概要 |
本研究はシステムの性能評価を行い、in vivo実験を進めた。 (1)生体腎を用いた血流計測の評価 麻酔下のラット腎表面に切開を加えCCD生体顕微鏡を刺入し、高速度CCD顕微鏡で観察して血流画像を録画した。更に、光マーカーを腎動脈から投与した時のマーカーの移動画像の記録も行なった。同時にトランスソニック型超音波血流計で腎動脈血流量を測定した。2種の方法による腎糸球体内血流分布の比較を行い、なおかつグローバルな腎血流と比較検討した。 (2)腎微小循環の観察 実験モデルラットを用いてコントロールラットとの血流の違い、血流量、流速等を比較検討した。血管作動物質であるアンギオテンシンIIなどによるインターベンションを行なって反応の相違を観察した。まず、正常ラットを用いて、血圧、血流量、血流速度について検討を行なった。アンジオテンシンII(10,30ng/kg/min)に対する反応は、血圧は濃度依存性に増加し(98±6,105±5mmHg)、腎血流は逆に濃度依存的に減少し(2.0±0.3,1.7±0.2ml/min/100g)、また糸球体血流平均速度は濃度依存的に増加する(641.2±269.6,789.0±185.1μm/s)ことが判明した。これらのアンジオテンシンIIの作用は、すべてアンジオテンシンIIの遮断薬の一つであるAT1遮断薬(Losartan3mg/kg)で消失することも確認した。アンジオテンシンIIは、生体にとって体液を保ちながら尿を生成するには有利であるが、糸球体おける代謝から考えると循環微粒子の接触時間が短くなるので濾過という観点からは生体にとって不利となる。レニンアンジオテンシン系が亢進している高血圧ラットでは、さらに興味深い結果が得られると考えられる。
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