本研究は、生体細胞や蛋白質等の3次元イメージング法として、核磁気共鳴マイクロスコピー(MRFM)の可能性に着目し、従来から計測されてきた、プローブ顕微鏡による表面形状測定、局所粘弾性、さらには電気伝導特性などのデータを元に、計算機処理により3次元画像を構成しようとする試みである。第一段階として、液中AMF測定における局所電気伝導度測定のためのプローブの開発をおこなった。また同時に電気的特性と磁性を考慮した、マイクロ生体モデルについて検討した。液中にある細胞について電気化学STMによる、細胞の局所電気伝導、誘電特性の測定を行うために、先端部分のみ導電性を持たせたプローブが必要となる。このため、導電性カンチレバー表面に樹脂をコーティングし、先端部分の樹脂を収束イオンビーム(FIB)により除去する方法と、低抵抗シリコンカンチレバーを熱酸化し、先端部分をエッチングする方法について検討した。現在のところ、いずれの方法においても測定に使用可能なプローブは得られていない。電気伝導性、誘電性、磁性を考慮したマイクロ生体モデルの構築については、周囲電解質、細胞膜、細胞質を単純な無限大層状構造とし、細胞質層に電気伝導度の異なる球状体が埋め込まれたモデルについて、プローブによる局所インピーダンスがどのように変化するか、計算機シミュレーションを行うためのプログラムを開発中である。このほかに、液中での磁気力顕微鏡(MFM)観察の感度および分解能に関しても、赤血球を用いた実験により評価中である。
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