研究概要 |
1)HLA-DRB3,DRB4,DRB5およびDRB1遺伝子の7グループに特異的に増幅する2組(4本)の蛍光標識プライマーを合成し、HLA型が既知の20種の日本人ホモ接合体DNAを用いて、PCR増幅が行われることを確認した。 2)DRB1の7グループとDRB3,DRB4,DRB5遺伝子にそれぞれ対応した鎖長18merの、12本のプローブを作成し、日本レーザー社製の新旧2種類のアレイヤーを用いてスライドガラスへのスポッティングを行った。その結果、新アレイヤーの方がスポット径、スポット位置共に精度が高いことが判明したため、以後の研究には新アレイヤーを用いて行うこととした。 3)1)で得た20種のPCR産物と、2)で作製したプローブ固相後のガラスチップとのハイブリダイゼーションを行い、洗浄後に蛍光スキャナーにて発色像の検出を行った。発色像を目視にて3段階判定し、判定結果と既知の遺伝子型を比較したところ、正解率は50%であった。原因は、発色の際にシグナルが弱く、誤シグナルとの区別が困難であったためと考えられた。そこでプローブ固定液の濃度を2倍にし、さらにプローブにイノシンの挿入を行い、鎖長を長く設定したところ、正解率は75%(15/20)に向上した。 4)次に既知HLA型の日本人ヘテロ接合体DNA40種を用いて同様の実験を行ったところ、95%(38/40)の正解率が得られた。ヘテロ接合体での正解率が高かった理由としては、用いたDNAが低濃度であったことが考えられた。今後は20〜40ng程度のDNAでPCR増幅を行うこととし、日本人HLA-DRB遺伝子型をすべて網羅するプライマーの設計に取りかかる予定である。
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