研究概要 |
1)まず、HLA-DRB1およびDRB3,DRB4,DRB5遺伝子の7グループに特異的に増幅する2組の蛍光標識プライマーを合成し、HLA型が既知の20種の日本人ホモ接合体DNAを用いて、PCR増幅行われることを確認した。同時に12本のプローブを作成、日本レーザー社製新アレイヤーを用いてスポッティングを行った。 2)1)で得た20種のPCR産物と、プローブ固相後のガラスチップとのハイブリダイゼーションを行い、洗浄後蛍光スキャナーにて発色像の検出を行った。発色像を目視にて判定し、判定結果と既知の遺伝子型を比較したところ、発色の際にシグナルが弱く、誤シグナルとの区別が困難であったため改良を加えたところ、正解率は50%から75%に向上した。 3)次に、HLA-DRB遺伝子型365種の遺伝子型について、データベースより収集した情報をもとに、日本人の持つすべての遺伝子型を網羅するようにプライマーを設計し、全体で20組のプライマーセットを作製した。濃度を20〜40ngに調整した既知HLA-DRB遺伝子型のDNA100種を用いてプライマーの検定を行い、14組を採用した。 4)プライマーセットに至適な条件で検索したプローブ124本を用いて、3)で得られたPCR産物とのハイブリダイゼーションを行い、発色像の確認を行うと共に有効なプローブを103本選定した。 5)これらのプローブをスポッティングし、20種の日本人ホモ接合体DNAと50種の日本人既知HLA-DRB遺伝子型のヘテロ接合体DNAを用いてタイピングを行ったところ、ホモ接合体では80%、ヘテロ接合体では69%の正解率であった。この原因は、プローブごとのバックグラウンドが、当初の予想より不均一であるため、ヘテロ接合体でのバックグラウンドが陽性シグナルと判定されるものと判明した。今後はプローブの改良を進めることで自動判定が可能と考えられた。
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