研究課題
まず、脳死脳波の独立成分解析の研究では、脳死脳波に心電図が混入したデータに対して、心電図から脳死脳波への混入はあるが脳死脳波から心電図への混入はないこと等の性質をうまく利用して、安定に動作するアルゴリズムを提案した。また、このアルゴリズムを実際の脳死脳波に対して適用し、その有効性を確認した。また、脳死脳波のカオス時系列解析では、相関次元解析、リアプノフ指数解析に加え、ウエイランドテストによる解析を行なった。特にウエイランドテストは、独立成分解析による処理後に残留するノイズが生体由来の信号ではないことを確認するために有効な方法であることが明らかになった。さらに、上記の脳死脳波の独立成分解析及びカオス時系列解析を、実際の脳死脳波の現場で迅速かつ容易に行ない、法的脳死判定の際の平坦脳波の判定の補助として利用できるようにするためのソフトウエアの開発を開始した。このソフトウエアは、本研究で開発した独立成分解析アルゴリズム及びカオス時系列解析アルゴリズムを実装し、操作の容易なグラフィカルユーザーインターフェイスを備えたものである。完成後は医学・医療分野に対して無料で配布し、アルゴリズムの安定性、実用性等についてのフィードバックを得る予定である。またこれらのフィードバックの結果を盛り込んだ本ソフトウエアの完成後、最終的には本研究の成果であるアルゴリズムを市販のデジタル脳波計へ実装することを目指している。
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