研究課題/領域番号 |
12571003
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岡田 裕成 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (00243741)
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研究分担者 |
加藤 薫 神奈川大学, 経営学部, 教授 (40291968)
齋藤 晃 国立民族学博物館, 助手 (20290926)
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キーワード | 植民地美術 / アンデス / スペイン / キリスト教美術 / ペルー / ボリビア / パラグアイ |
研究概要 |
3年にわたる研究計画の最終年次にあたる本年度は、当初予定通り、ボリビアのサンタ・クルス県、パラグアイ、およびアルゼンチン所在の旧イエズス会布教区聖堂(遺跡含む)計16箇所を実地に調査した。これら諸聖堂は世界遺産にも登録され、これまでも一定の研究と紹介がおこなわれてきたが、われわれは、計約5000点の資料写真の撮影を実施し、本研究の主たる目的である植民地美術画像資料データベースのいっそうの充実を図った。現在、この写真資料を原資に、インターネット上のヴィジュアル・データベースサイトを構築中である(一部試験運用中。まもなく常時運用開始予定)。なお、このデータベースサイトは、将来的にボリビア文化庁美術目録センターとの共同運用を目指しており、目下協議を進めている。 本年度はまた、重要な植民地時代都市ポトシ(ボリビア)のコパカバーナ、サン・ベニートの両聖堂において、同市庁ならびに司教館の許可のもと、壁面の漆喰を一部除去しての埋蔵壁画調査をおこなった。このうちコパカバーナ聖堂では、おおむね18世紀のものと考えられる壁画の部分的残存を確認した。また、同聖堂の重要な石造主祭壇衝立に、かつて「アチナード」とよばれる特殊な彩色技法が用いられていたことを確認した。 本年1月20日、『季刊民族学』誌(国立民族学博物館監修)103号において「植民地時代アンデスの教会美術」と題した特集(3-71頁。岡田裕成・齋藤晃責任編集)を組み、この3年間にわたる調査の概要を公にした。本特集には、代表の他、国内の研究分担者2名、海外の協力者3名が論考および報告を寄せ、南米植民地におけるキリスト教文化の受容と変容の過程、あるいはその保存に向けての今日的課題について、本科研助成研究の成果を取りまとめた。
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