研究分担者 |
島森 哲男 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70125699)
佐藤 雅子 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (60091774)
山縣 浩 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (50000295)
市瀬 智紀 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (30282148)
笠間 賢二 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (50161013)
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研究概要 |
現在の中国の公式的教育論である素質教育論は1993年頃から提唱されだした.それは,民族の資質向上と市場経済への対応,そして社会に瀰漫する〈応試教育〉の克服を目指して試行的努力が重ねられてきたが,今や,理論的吟味と唱導の段階から,各学校での実践の段階へ,そのための各種の制度改革(カリキュラム改革,評価法の改革,入試制度改革)の段階へと移行し,本格的実施の段階を迎えている. 本研究は,こうした教育改革(とくに義務教育改革)の動向を,(1)学校現場に足を運んだ実地の視察調査、(2)大量に出版されている素質教育関係文献の収集分析,(3)アンケート調査や聞き取り調査、という方法によって実証的に明らかにすることをめざして進めてきた.今年度は,昨年度に行った吉林省内の三つの調査地点での実地調査につづき,(1)上海市域の小・中3校,(2)蘇州市域の小・中4校を調査地点として選び,実地の視察調査とアンケート調査を実施した.とくに上海市の「進才中学北校」では,素質教育に関する先進的実践である「研究性学習」の成果を生徒の発表をとおしてつぶさに見学し,また同校の教師と忌憚のない討議を重ねることができた. こうした2年間の研究成果の一端は,まもなく「研究成果報告書」として刊行される.報告書には,協力校である東北師範大学の教官による素質教育に関する論文,カリキュラム改革に関する論文,入試改革に関する論文も掲載される予定である. 中国の素質教育を機軸とした教育改革を日本で進行中の教育改革と比較検討してみることは重要である.とりわけ「研究性学習」は,平成14年度からわが国の小・中・高に導入される「総合的学習の時間」とその発想と形態において似通っており,両者の成果と問題点を比較検討してみることは,日中双方の教育改革にとって裨益することが大きいと思われる.
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