研究概要 |
日本植民地時代に樺太(サハリン)への民族移動に関する文化人類学的先行研究を検討の上,次の5点に関して現地調査研究を行った。 1、サハリンは日本植民地による募集、徴用などで移住した朝鮮の人々、戦後北朝鮮からの労働移民、中央アジアと極東シベリアから来た人々が混合して、調和と葛藤があることに注目した。たとえば永住帰国や文化会館建設(日本から)に関しての意見が異なって派閥的に組織を作っていることの実情を把握した。 2、韓国に永住帰国した人々,京畿道にあるサハリン帰国者アパート「故郷村」、江原道の養老院「愛の家」、仁川市にある赤十字経営の養老院、釜山の外国人商店街をそれぞれ訪問して、観察とインタビューによる調査を行った。 3、サハリンでの現地調査で、まず公文書館に保管されている戦前の機密であった書類の215の文書中から豊原警察署などの朝鮮人関係のものを収集して検討中である。 4、日本人としてロシア人や朝鮮人と結婚して残留定着している家庭などを訪問してインタビューを行った。例えばその一戸では父親を始め9人の子女全員がロシア人と結婚した人々の民族間結婚の状況などを把握した。 5、日本に永住帰国している在日韓国・朝鮮人または日本人の調査を行った。彼らの帰国定着の過程は韓国におけるものとは異なっていることが分かった。 この研究は中央アジアと極東シベリア、韓国、北朝鮮、日本に繋がっており拡大せざるを得ないということとインフォーマントの高齢化を考えるとより早期に緊急研究として継続すべき必要性を痛感している。
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