研究概要 |
本年はトルコ政府宗務庁などとの関係で幾つかのアレヴィー集団が訴訟問題を抱えるるなど、アレヴィーをめぐる、政治的、社会的動向が急になり、ホットな話題になってきた年であった。そのため政治的な動向との関係からもアレヴィー社会、文化について調査した。その結果としてトルコ宗務庁のイスラームであるスンニー・イスラームへと変化つまりスンニー化するアレヴィー集落が調査によって明らかになってきた。その一方でアレヴィー文化を維持しようという動きも調査により明瞭になった。佐島はアンカラ周辺に絞って(それでも約50か村以上)現在のアレヴイー集団の動向を調査した。それによってスンニー化の様態、つまりアレヴィー文化の変化・変容が明らかになってきた。アレヴィー文化を維持する拠点についてもイスタンブル,アンカラ、スィヴァスなどの調査を実施した。ブルガリアに関しても同様の調査を研究協力者の寺島憲治が始めた。 宗派宗教など他の集団との関係。信者数として最も多いハルヴェティェ教団とアレヴィー集団との関係について、その有力な霊廟ウンミ・シナンの墓地調査を、井谷鋼造が行った。碑文として霊廟の敷地・墓地にあるすべてを読み、資料化した。現在分析中。 アレヴィー共同体の要にある儀礼の中で演奏される音楽文化については研究協力者斎藤完が、伝説的でもあるが最大の音楽演奏家であるアーシュク・ヴェイセルを中心に調査、分析した。 ブルガリアについては昨年度から持続して、研究協力者の上岡弘二と寺島憲治がロドピー山脈のアレヴィー系集落を調査してきた。平成13年度はロドピー山脈の東部における春季祭・秋季祭の調査をし、牧羊業と関連する儀礼システムと農業のそれといった、生業形態とマエ儀礼との関連についても明らかにしつつある。 なおアレヴィー・ベクタシに関連する文献と関連文献の著者の「文献目録」を斎藤が中心となって作成に着手した。
|