研究課題/領域番号 |
12571031
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐々木 達夫 金沢大学, 文学部, 教授 (60111754)
|
研究分担者 |
佐々木 花江 金沢大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教授 (40303276)
岡田 保良 国土舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (70138171)
蔀 勇造 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90126079)
|
キーワード | ペルシア湾 / アラビア半島 / 海上貿易 / イスラーム陶器 / 中国陶磁 |
研究概要 |
サウジアラビアの都市遺跡訪問、イランの都市遺跡訪問、及びアラビア半島の砦遺跡の発掘が今年度の研究である。サウジアラビアではペルシア湾岸のダンマンから内陸に入ったタージ遺跡を訪問し、イランでは同じペルシア湾を挟んだスーサ遺跡を訪問した。タージ遺跡は発掘調査が始められたところであり、スーサはすでに百年以上の発掘調査の歴史をもっている。両地域の都市遺跡の構造や出土品の比較検討を行った。ともにメソポタミア産の陶器が共通する出土品であり、ペルシア湾文化実体研究の必要性を感じた。 アラビア半島、アラブ首長国連邦シャルジャ首長国では、オマーン湾岸の都市コールファッカンでルリーヤ砦を発掘調査した。これまで発掘したハレイラ遺跡、アリ遺跡、ジュルファール遺跡などで発見できなかった貿易資料の発掘が目的である。多くの土器とイスラーム陶器、少量の中国陶磁器が出土した。イスラーム陶器は青・緑釉陶器鉢が多く、次いで黄釉陶器鉢となり、中国陶磁器は青磁碗と白磁合子が主であった。イランやアラビア半島などの近距離貿易品と、中国の遠距離貿易品を組み合わせた出土品である。陶磁器は比較的限られた時代の一般的な生活用品であり、年代が不明瞭であったこの時代のイスラーム陶器の編年研究を進めることができる。 また、砦及び砦内部の構造と機能が見えてきた。丘頂部の監視塔を中心とし、石階段を下りると水タンク、石壁家、祈りの場などがあり、砦内の生活空間の平面的配置と実態が判明した。出土した土器とイスラーム陶器、中国陶磁器を組み合わせた生活用品の実態、鉄製品やビーズ・バングルなどの装飾品からみる生活、新たなイスラーム陶器の編年、骨貝殻等の食料残滓から復元できる食生活などが研究成果として特筆できる。
|