研究分担者 |
大橋 一章 早稲田大学, 文学部, 教授 (80120905)
菊池 徹夫 早稲田大学, 文学部, 教授 (00147943)
長澤 和俊 就実女子大学, 文学部, 教授 (60083333)
谷川 章雄 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (40163620)
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80201052)
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研究概要 |
当該研究は,漢王朝の西域都護府設置を軸としたシルクロード史の再検討を目的としている。 漢王朝の中央アジア進出は,シルクロードが形成されるひとつの重要な要因であり、のちの東西交流発展を決定づけたといえる。漢王朝,それに対抗する匈奴,その狭間にあった中央アジアの在地勢力,これらの相互関係と交流の歴史を、考古学,歴史学,美術史学、その他関連諸学を総合して解明することが、われわれの研究方法の特色のあるところと言える。 西域都護府の治所である烏塁城が発見,比定されれば,漢王朝の西域経営の実態に関する研究は飛躍的に進捗すると予想された。このため,まず烏塁城の発見を最初の目標として,調査・研究を開始した。しかし,沙漠中の厳しい自然条件、中国側の事情などさまざまな制約から、烏塁城設営地と目される輪台地区での調査は予測以上に困難をともなった。そこで計画にあった当初の調査順序を一部変更し、周辺地域の都城址調査を先行させるように計画を手直した。そのため今年度は,新彊全体での都城経営のアウトラインを把握することを目的として、新彊各地の遺跡を踏査することにした。 8月末から9月なかばにかけての2週間,天山山脈の北側にある天山北路沿いの都城遺跡に主眼をおいて調査した。東はハミからバリコン、奇台、ジムサール、昌吉、ウルムチ、石河子、コルガス、伊梨などを踏査した。このなかでは奇台の石頭城址、ジムサールの安西都護府址などが遺跡の残存状態がよく、調査地点として有望であることが判明した。10月には天山山脈の南側、トルファンからカシュガルに至る天山南路沿いの都城遺跡を調査した。なかでも輪台とクチャ周辺には多くの都城遺跡が残っている。この踏査によって、おそらく輪台周辺の沙漠の奥深くに漢代の西域都護府である烏塁城址が埋もれているのであろうと予測できた。1月には天山山脈の南側でトルファンからハミに至る天山南路沿いの都城遺跡をしらべた。トルファンの交河故城や高昌故城、さらにハミの柳中城などが、漢代から続く都城址として有望であることが解った。 これらの収集データを日本にもちかえって、来年度以降の調査に役立てるために、目下のところ資料整理や分析にあたっているところである。
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