研究課題/領域番号 |
12571033
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
吉田 大輔 (財)中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20280670)
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研究分担者 |
渡辺 和子 東洋英和女子学院大学, 人間科学部, 教授 (00223397)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
大村 幸弘 (財)中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (10260142)
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キーワード | 保存修復 / 楔形文字 / 象形文字 |
研究概要 |
1.発掘調査:2002年度第17次調査も文化編年の構築を主目的とする北発掘区を中心として、主に第III層(紀元前2千年紀)の建築遺構を調査した。"円形遺構"(印影が多数出土したものとは別)の床面から麦が大量に検出され、この遺構が貯蔵庫であった可能性が強まった。また遺丘周辺の磁気探査により同様な"円形遺構"の存在が新たに確認された。(2002年6月〜9月) 2.保存修復:発掘現場近くのアナトリア考古学研究所内の施設で、引き続き出土遺物の保存修復作業が行われた。日本から搬入した窯による焼成実験を本格化し、データーの蓄積に努めた。ただ窯の温度調節にやや難があり、今後の課題となった。また今次調査で出土した遺物だけでなく、クルシェヒルの博物館に収められている2001年度迄に出土した重要遺物についても必要に応じて保存処理が施された。キュルテペ出土の遺物は、粘土板文書を中心に行った。(2002年7月〜10月) 3.古アッシリア文書の研究:2001年度に引き続き、1996年にキュルテペ(古代名カニシュ)のカールム(アッシリア商人居留区)で出土した粘土板文書の研究をアナトリア文明博物館で行った。今回の調査でその中に少なくともアッシリア商人エディン・アッシュルとその息子トゥラム・イリの二代にわたる商業活動に関する文書群が含まれていることを確認することができた。文書の種類としては商業書簡、債務証書、裁判記録などがある。(2002年8月) 4.ヒッタイトの印影の研究:今回の調査は、"円形遺構"から大量に印影が出土する1994年以前の発掘調査で発見された印影を中心に進められた。その多くは"円形遺構"出土の印影とほぼ同時期(紀元前15〜14世紀前半)に年代付けられるが、新王国時代(紀元前14世紀後半〜13世紀)のものも数点含まれており、フリの女神シャウシュガを表わす象形文字がはじめて確認された。フリの文化圏の拡がりを示すものとして注目される。(2002年9月〜10月)
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