研究課題/領域番号 |
12571037
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
遠藤 織枝 文教大学, 文学部, 教授 (10203663)
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研究分担者 |
劉 頴 成城大学, 文芸学部, 講師 (10307118)
櫻井 隆 明海大学, 外国語学部, 助教授 (60255031)
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キーワード | 中国女文字 / 女書 / 湖南省江永県 / 三朝書 / 伝承者 / 陽煥宜 / 何艶新 / 何静華 |
研究概要 |
中国女文字の伝承者の筆記能力と、発見された原資料に基づく調査を行っている。前者については、最も新しく伝承者に加わった何静華の文字の質を調査して、かなり変質していることが判明している。 また、1994年に遠藤等がその存在を知った何艶新の文字は、文字の字形は伝統的な従来の女性たちが、書いたものと遜色がなく、美しく端整に書ける。しかし、本人の経済的事情で、遠藤が調査に現地に行ったとき以外はほとんど書いていないので、筆記能力が落ちている。現地政府は、漸く女文字の保護・保存を考え始めているが、何艶新の生活を保証して筆記能力を保持するというような策は立てていない。 後者については、発見された三朝書に書かれた内容を判読し、翻字・翻訳の作業を経て、分析整理を行っている。多様な三朝書の実態が明らかになるにつれ、女文字を駆使して女性間のコミュニケーションを活発に行っていた当地の女性たちの家族、結婚、自然に対する意識が鮮明に浮かび上がってきて、非常に興味深い。女文字で書いた三朝書の内容としては、別れを悲しみ、自分たちの運命を怨むものが多いが、それを端念に読み解くと、以前の女性たちの人生観、世界観にたどりつくこともできる。その知見は、女性史・社会思想史へも展開できる大きな可能性を含んでいる。
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