分担者のマブラは研究協力者とともに、タンザニアのセレンゲティ国立公園の20ヶ所においてにおいて地表に散乱している石器の分布調査を行ない、石器資料を採集した。分担者の木村はケニアのナイロビ博物館において、タンザニアのオルドバイ遺跡出土石器資料およそ2000点を分析して必要なデータを収集した。 また西田と木村、および協力者の3名は、セレンゲティ国立公園に散乱している黒曜石の原産地候補であるケニアのバリンゴ湖の周辺の黒曜石露頭地帯を探索し、原産地推定のための資料を10数地点において採集した。採集した石器および黒曜石原石は日本に持ち帰って分析を進めている。 また西田は来年度の調査計画についてマブラと協議し、平成14年度はセレンゲティ国立公園において地下に埋没している石器量を推定する目的で、数ヶ所において試掘調査を実施することを決め、タンザニア国立公園局から発掘許可のでる見通しを得た。また実際の調査において必要な作業員、機材などの手配、調査期間などについて細かい打ち合わせを行った。 これまでに収集した資料について行った解析結果の一部を、協力者である衣笠が論文にまとめ雑誌「動物考古学」に掲載される予定である。本研究が目指しているGISを用いた遊動社会の復元的研究の有効性を確認するとともに、セレンゲティ国立公園の地表に散乱している石器の数がおよそ2億数千万点であるとの推定値を得た。また石器の分布密度は岩山の分布と強く相関することが明らかになった。岩山には水のあることが多く、日陰があり風がよけられ、付近には樹木も多く、妥当な結果であった。 今後さらに、石器の種類と環境条件との相関について分析を進める予定である。
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