本研究は平成12〜15年度の4カ年計画で日本と中国、韓国を中心とする東アジア地域における古代庭園について、発掘遺構を主たる対象として調査研究を行い、同地域における庭園の構造、立地、使われ方などを明らかにするとともに、各地域の庭園の系譜関係と相互の影響を解明することを目的としている。 最終年度である平成15年度は中国において庭園発掘現場・曲水庭園遺構の現地調査を行ったのと、本研究のとりまとめのシンポジウムを日本・中国・韓国の庭園史研究者を集めて開催した。 中国の現地調査(2003.10.1〜13)では曲水遺構として北京故宮内禊賞亭・潭柘寺・香山、河南省崇福宮泛觴亭跡の現場を調査し、また庭園発掘成果の情報収集を西安市、唐大明宮太液池について中国社会科学院考古研究所の協力を得て行った。 国際シンポジウム(2004.2.4〜5)は「日本・中国・韓国の古代庭園シンポジウム」と題し、韓国からは「百済の古代庭園」・「韓国・統一新羅時代の古庭園における園池構成の特徴に関する研究」、中国からは「南越国宮署遺址の庭園遺構」・「隋唐東都園林遺跡の考古調査と研究」・「唐大明宮太液池発掘調査の結果」、日本からは「飛鳥時代の庭園」・「奈良時代の庭園」、の計7本の報告をいただき、本科研のテーマである各地域の庭園の特色と系譜関係について討議した。 シンポジウムではそれぞれの国、地域における古代庭園の特色と、他の国・地域との相違点が確認できたこと、また相互の系譜関係に関しては必ずしも直接的なつながりを想定しえないことなどが確認できた。
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