本年度は、本調査の準備段階であり、研究代表者・分担者・協力者それぞれの研究の他に、合同の調査旅行、及び研究会を3回開催した。来年度に本調査を行う予定であり、本研究に関わる成果はまだ出されていない。 2000年8月に2週間、代表者櫻井と分担者鈴木、協力者佐藤、ソンペット、浦崎が東北タイを周り、スリン教育大学、マハーサラカーム大学東北タイ文化研究所、コンケーン大学社会学部を訪れ、スリン県、マハーサラカーム県、コンケーン県における現地研究協力者、及び新たに参加を申し込む研究者との打ち合わせを行った。その後、チャイヤプーム県ゲンクロ郡スカトー寺にて開発僧の調査を行った。こうした合同調査以外に、各自の研究として、櫻井はノンカーイ県のNGO調査、鈴木はコンケーン県の住民組織調査、佐藤はアメリカ、イギリスに文献調査旅行、浦崎は上記の開発僧調査、同じく協力者の猪瀬がタイSGI調査を行っている。 合同の研究会は2000年夏の日本タイ学会、11月の日本社会学会大会の学術大会中に半日ほど、2001年3月には、琉球大学のアジア地域研究所との共催で行う予定である。 タイの各大学を回り、調査協力を求めたが、本研究において予め共同研究の依頼をしていたものを除き、分担研究の経費額(1名当たり年間5万バーツ、約18万円)及び、全てに領収書を必要とする会計や執行方法(研究者自身に謝金・日当を支払えない)等について、タイの研究機関における慣習的な助成の使用方法と異なる点が多々あったため、日本側の説明を理解してもらえなかったり、共同研究に関心を示してもらえない等の問題があった。日本では分担研究者が年間50万円の経費で1カ月近くの期間、タイで調査するのであるが、タイでは大学教員の給与4カ月分の経費でも、地元の調査に後込みする状況がある。 本調査研究は、現地調査を地元の研究者をガイド代わりに雇うようなコロニアル的調査方法を脱し、少ないファンドを分かち合いながら、対等な関係で調査を行い、研究交流を目的としていたが、海外調査研究の難しさを感じさせられた1年目であったといえる。
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