研究課題/領域番号 |
12572003
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
園田 茂人 中央大学, 文学部, 教授 (10206683)
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研究分担者 |
山田 真茂留 立教大学, 社会学部, 助教授 (20242084)
宮野 勝 中央大学, 文学部, 教授 (30166186)
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キーワード | 韓国 / 台湾 / 日系企業 / 質問票調査 / 比較研究 / コミュニケーション / 越境ビジネスマン / 認識ギャップ |
研究概要 |
3年プロジェクトの最終年にあたる今年は、今までの研究蓄積を踏まえ、韓国と台湾で実施した日系企業で働く現地人マネジャーを対象にした質問票調査を実施、その結果をそれぞれまとめた上で、比較する作業を行った。同時に、昨年度実施した中国調査の結果をまとめ、その二つの調査から、どのような知見が得られるのかを、研究メンバーがそれぞれの視点からとりまとめ、検討を行った。 その結果は、2003年1月5日〜7日にかけて行われた検討会の際に議論されたが、その結果、(1)中国人現地従業員が(台湾人、韓国人、日本人)駐在員を評価する際に決定的に重要なのがパーソナルな好悪感情で、これは基本的にコミュニケーションの様式によって形成される、(2)親日的な台湾、反日的な韓国と対比されがちだが、日系企業で勤務する従業員の意識や評価に限ってみると、両者の間に決定的な違いは見られず、これは日系企業で長く勤務する中で日本的な考え方を習得した結果に起因している、(3)越境ビジネスマンをめぐる「権力状況」(どの国の言語が支配的か、どちらの側が大きな交渉力をもっているかなど)によって、個々のビジネスマンの行動や意識に違いが見られる、といった知見を得ることができた。 またこれ以外にも、(1)文化的に近いとされる中国と台湾が、必ずしも認識ギャップから無縁ではないこと、(2)中国イメージがよい韓国人ビジネスマンにも、中国人パートナーに対する信頼は必ずしも高くないこと、(3)韓国や台湾に比べ、中国の現地従業員が日本人駐在員を相対的に低く評価していること、など興味深い事実を発見することもできた。 今後は、各自がみずからの知見に対する解釈・考察を深め、完全にリライトしたペーパーを持ち寄ることで、論文集を編集・刊行する予定となっている。
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