研究課題/領域番号 |
12572007
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 賢 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
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研究分担者 |
高見澤 磨 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (70212016)
通山 昭治 九州国際大学, 法学部, 教授 (70197854)
木間 正道 明治大学, 法学部, 教授 (80215300)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 行政機構改革 / 裁判の独立 / 人民法院 / 人民検察院 / 法治国家 / 体制転換 / 法曹養成 / 法学教育 |
研究概要 |
(1)中国の国家機構再編の論理と進展状況を調査するため、中国の6都市で立法機関、行政機関(中央、地方)、裁判所、検察機関、大学・研究所などを訪問し、ヒヤリングを行った。研究チームの構成員はすべて現地の言葉に通じていることから、通訳を介さずに直接、効率的かつ正確に聞き取り調査を行うことができた。 (2)ヒヤリングで得られた知見は、以下の通りである。1)一党制レジームを維持するという前提のもと、市場経済に即応した小さな政府の実現をめざして、急ピツチで行政機構のスリム化、権限の再編・縮小、ドラスティックな人員削減(約半減)が進んでいる。ただし、地方の末端での改革がどの程度進展しているかは必ずしも明らかとはならなかった。2)沿岸部大都市の裁判所、検察機関では裁判官、検察官の資質向上がはかられ、司法の独立を担う専門家集団が形成されつつある。裁判所では裁判の正統性の確保に腐心していることが分かった。検察機関ではソ連式の一般監督への回帰も模索されるなど、改革の論理は複雑に錯綜している。他方、西部の地方都市では人材確保に苦労し、改革を進める主体が確保されていない。3)大学法学部にも実務家養成を担うことをねらった新しい大学院修士課程が設置され、卒業生を送り出そうとしている。2002年から始まった司法試験の受験資格が学部卒業とされたことと相まって、大学が法曹養成にこれまで以上にコミットすることになろう。4)総じて、国家機構再編の作業はまだ緒についたばかりで、制度として安定するには数年を要するであろう。 (3)現地調査は海外研究協力者の手配により順調に進められ、各地の実務家、研究者との間に緊密なネットワークが形成された。これにより随時、新しい情報や資料の提供を受けうる体制が整えられた。今後の継続的な研究に大きなメリットとなるであろう。
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