研究概要 |
日本プロジェクトは2000年度から始まり02年度(〜03年3月)をもって終了した。その研究の主たる目的は、主に1990年代以降(ポスト冷戦期)における中国・米国・日本・台湾の政策決定者におけるアジア太平洋における相互認識と政策決定過程を相互連関の中で明らかにすることであった。 第1年度は、現地訪問によるテーマに関連資料の収集、関係者へのインタビュー作業のほかに若手研究者、大学院生を研究協力者として研究会を組織し、1990年代における中国、米国、台湾の主な新聞に現れた米国、中国イメージを明らかにしていった。第2年度は主に中国、台湾のブレーンたちへのインタビュー、意見交換によって対日本、対米国の認識や戦略を考察することができた。第3年度は2002年が日中国交正常化30周年ということもあり、中国および日本で、数々の学術シンポジウムがあり、私自身6回の訪中機会をもち多くの中国側専門家と意見交換を行う機会があった。さらに米国学者との意見交換に関しては、Ramon H.Myers(Professor of Stanford Univ.), Harry Harding, Mike Mochizuku(Professor of George Washington Univ.)らと米中、台湾、日米などに関して議論することができた。ただし当初考えていた米国で1990年代を通して対中国政策に直接政策決定に関わってきた人々へのインタビュー(Kenneth Lieberthal : Professor of Michigan Univ.& Former Derector of Asia Divison of NSCら)、台湾での政策決定者本人への直接インタビューは、物理的に不可能となった。しかし、これまでの取材調査や研究活動経験から、台湾での李登輝前総統および彼の側近であった林碧紹・国立政治大学副学長(前国家安全保障会議秘書長)ら、中国では、陸忠偉・国務院現代国際関係研究所所長、張温嶺社会科学院アジア太平洋研究所所長、王逸舟社会科学院世界経済政治研究所副所長、愈新天上海国際問題研究所所長らへのインタビューをおこない、本テーマに関連した意見交換をすることができた。 彼らとの学術的な交流・意見交換などを中心に90年代を通しての米中日関係のリアルな認識構図と基本的な戦略設定の論理を明らかにするという目的は、11に示したような3つの論文の執筆・発表、さらにそれをベースにした著書『等身大の中国』の出版によって一応実現したと考える。
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