本研究は、マラヤ/マレーシアの経済発展における『労働者』に関して、その意味と性格の変化について分析、検討することを目的とし、マレーシアおよびイギリスの史料やデータ、支献などの収集とフィールド調査をおこなうことを課題としている。その際には、19-20世紀の大きな構造変化を見据え、マラヤ/マレーシアの「労働者」、「労働力」、「労働」についての意味や性格の変化を明らかにし、具体的な議論の中から開発途上国の歴史的な発展における「労働者」像を描き出すことを意図してきた。 第3年目にあたる2002(平成14)年度は、前年度までにマレーシアとイギリスで収集した基礎的な史・資料の分析を中心として、本研究テーマをめぐっての議論の検討を進めた。とくに労働者の生活と社会保障の側面に目を向け、とくに1997-98年の経済危機の影響を検討したり、ジェンダーと移民労働について国際労働力移動の議論に位置づけるなど、サブ・テーマとしての分析を深めた。第3年目でもあり、本研究と関連して研究会での報告などをおこなうことに加え、研究成果として、論文の発表などを進めている。 2002年度における本研究と関連しての研究会などでの報告で主なものは、アジア理解講座「経済開放最前線/マレーシアの経済開発と社会変容:開発の光と影」(10月、国際交流基金アジアセンター)、同講座「移動するアジア人:文化とアイデンティティ/マレーシアの移住労働者」(11月、国際交流基金アジアセンター)、イスラム人口問題懇談会「マレーシアの外国人労働者」(3月、国立社会保障・人口問題研究所)などがある。また、本研究テーマについては、マラヤ大学およびマレーシア科学大学の研究者などと議論を進めている。
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