本研究は、マラヤ/マレーシアの経済発展における『労働者』に関して、その意味と性格の変化について分析、検討することを目的とし、海外学術調査として、マレーシアおよびイギリスの史料やデータ、文献などの収集・分析と調査研究を行った。研究にあたっては、19-20世紀の構造変化を見据え、具体的な議論の中から開発途上国の歴史的な発展における「労働者」像を描き出すことを念頭に置きながら、マラヤ/マレーシアの「労働者」、「労働力」、「労働」について分析・検討を進めた。とくに、労働市場や労働力構造の分析のみならず、ジェンダー、移民労働、労働者の保護と権利、社会保障制度、ソーシャル・セーフティ・ネットなどのテーマも視野に入れて研究を進めた。 研究期間において、マレーシアのマラヤ大学やマレーシア国民大学、国立図書館、官庁の資料や英国のロンドン大学SOAS図書館や公文書館(PRO)において史・資料の収集と分析を行うとともに、マラヤ大学・マレーシア国民大学やロンドン大学の歴史・経済学研究者との意見交換や本研究への助言を求めた。また並行して、国際会議や研究会において本研究に関連した報告も行い、各国の研究者と議論も進めた。 以上のように、海外学術調査として、史・資料収集と調査研究を進めるとともに、研究成果を内外で公表した。本研究課題として、具体的な研究成果の一部については成果報告書にまとめたが、マレーシアの「労働者」像を検討するためには、19世紀から20世紀にかけての歴史的な流れで見ることが重要であり、移民労働やエスニシティ、ジェンダー、社会保障やソーシャル・セーフティ・ネットなどの側面からも労働者の状況を議諭する必要があることなどがあげられる。 なお本研究は、同じ研究課題として平成15(2003)-18(2006)年度の科研費基盤研究(C)(2)課題番号〔15530193〕に継続されている。
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