研究分担者 |
樋口 昭則 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (40250534)
甲斐 諭 九州大学, 農学研究院, 教授 (70038313)
稲本 志良 京都大学, 農学研究科, 教授 (80026468)
長南 史男 北海道大学, 農学研究科, 教授 (00113697)
石田 正昭 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80144228)
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研究概要 |
家畜排せつ法が成立され6年間の猶予の後平成16年から施行されるようになり,酪農経営は家畜ふん尿の適正管理を行わなければならなくなった.家畜ふん尿の有効活用の一方法としてバイオガスが注目されるようになった.バイオガスとは家畜ふん尿を嫌気発酵させガス化させたもので,ガスを燃焼させることで電気と熱を得ることができ,再生可能エネルギーの一つとしてヨーロッパでは1990年代初以降本格的に普及されている.なお,発酵済みの消化液は肥料の成分が残るため,化学肥料に代わって土壌に還元できる.このようにバイオガスは循環型農業およびエネルギーの面でメリットがあると評価されている.しかし,バイオガスプラントは,多額の初期投資,低いエネルギー効率,および非採算性等の問題が指摘されている.そのためヨーロッパ諸国では多様な普及支援策を実施している. そこで本研究ではヨーロッパ諸国における再生可能エネルギー普及背景と普及支援策および環境規制が,バイオガスプラントの普及に果した役割について比較研究することを課題にした.そのことによって再生可能エネルギー普及の導入段階にある日本への示唆を得ることを目的とした. 研究結果をまとめると以下のとおりである.第1にEU加盟国が直面しているエネルギー及び環境事情には大きな差が存在し,その差が普及支援策の温度差をもたらしているものの,ほとんどのEU加盟国では電力会社がバイオガスプラントからの電気を費用のカバーする水準の価格で買取しなければならない.第2に環境汚染を防ぐ目的で硝酸塩指令のような環境規制が厳しく実施されており,それがバイオガスプラント普及の契機にもなっている.最後に日本への示唆を述べるとバイオガスプラント普及に直面して,環境・エネルギー政策の両面からのアプローチが重要ではないだろうか.
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