研究課題/領域番号 |
12572032
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
辻 雅男 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90284554)
|
研究分担者 |
福田 晋 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (40183925)
堀田 和彦 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00192740)
甲斐 諭 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70038313)
白武 義治 佐賀大学, 農学部, 助教授 (10192121)
岩元 泉 鹿児島大学, 農学部, 教授 (10193773)
|
キーワード | 伝統的農村手工業 / ベトナム農村経済 / 農地の実質的私有化 / 農民層分化メカニズム / ベトナム農村の過剰就業 / 水質汚染問題 / 林野の資源枯渇問題 / 重層構造型ワークシェアリング |
研究概要 |
本研究の目的はベトナムの農村経済の基本構造を成す伝統的農村手工業(木工細工、陶器細工、銅細工、薬草業など)の展開とドイモイ政策開始以降の農業・農村の近代化に焦点をあて、その両者の関連性を解明して、ベトナム農村経済の現代メカニズムと農業・農村の開発戦略を考究することにある。 そこで、本年度は伝統的手工業が立地する地域と稲作専業地域であるThai NguyenとThai Binを共同調査地に選定して、全員が現地調査を行った。その結果以下の諸点が把握された。 まず第一は、べトナムでは一連の制度改革によって農業生産手段である農地が実質的に私有化され、農家間の農業生産力格差が惹起し、農民層分化・分解メカニズムが機能しだしていること。 第二は、伝統的農村手工業の一つである農産加工業(精米、野菜加工、カッサバ加工、豆腐加工、茶加工等)は過剰就業状態にあるべトナム農村の労働力を吸収する重要な機能を有していること。 第三は、農産加工は原料調達、加工、販売の各過程で多くの人が介在する「重層構造」になっており、いわば「重層構造型ワークシェアリング・システム」の性格を帯びていること。 第四は、伝統的手工業が立地する集落において、農村手工業にる水質汚染等が観察され、水質汚染が環境問題になりつつあること。 第五は、べトナム、とりわけ北部におけるもう一つの環境問題として、林野の資源枯渇問題が発生していること、などが明らかになった。
|