研究概要 |
研究の基盤となる委任統治時代の空中写真、地形図,文書等を,ハワイ大学,グアム大学,北マリアナ大学,台湾大学,コロンビア大学,国会図書館,外務省外交史料館,米国議会図書館,米国公文書館,ビショツプ博物館などで閲覧し,複写・収集した。これらをもとに,ガラパン,テニアン,コロール,コロニアなど市街地の復元図を作成し,植民地都市の構造や沖縄県移民の居住構造を解明した。また,テニアン島を事例に,南洋興発の小作人配置地図を作成し,その経年変化から沖縄県移民の耕作形態を解明した。 沖縄県庁所有資料から南洋引揚者データベースを作成した。入力したデータ項目は引揚世帯主の本籍、現住所、出生年、南洋渡航年、南洋での住所、南洋での職業などで,13,097世帯分にのぼる。このデータベースを分析することにより、南洋移民の出身母村ごとに、南洋での住所や職業に特徴が見られることが明らかになった。また,ガラパン町に移住した経験を有する人を対象に、アンケート調査を行った。その結果、南洋群島への渡航時のプロセス、渡航後のプロセスが明らかになった。 現地調査として,12年度はサイパン支庁,13年度はヤップ,パラオ支庁,14年度はトラック,ポナペ,ヤルート支庁の島々を訪れ,沖縄県出身移民が活躍した市街地や集落,農場跡を確認し,記録をとった。また、日本の委任統治時代に学校教育を受けた現地の人々を対象に、当時の状況及び沖縄県出身移民との関係についての聞き取り調査を行った。その結果、沖縄県出身移民と現地の人々とが、様々なレベルで関係が深かったことが明らかになった。 沖縄県内では,南洋群島帰還者会会員に当時の生活の様子を聞き取り調査したほか,南洋移民を多数送り出した本部町崎本部集落を対象に,詳細な聞き取り調査を行った。
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