研究概要 |
従来の国家、地方自治体、行政の直接方式による住宅政策・福祉政策から市民参加、住民の自主管理を優先させた間接方式への転換が国際的な潮流であることを確認した。 (A)高齢者向けの住宅を専門に計画、建設、維持管理までを担当する専門家集団。または所有権者。 (B)日常の入居者生活支援サービス、介護サービスなど運営責任者 (C)住み慣れた地域で老後の自立生活を支援してくれるコミュニティーに所属すること。 (D)あらゆる場面で介護職員からの虐待行為、尊厳を傷つける行為から高齢者を保護する救済策、告発手段・機会の設置。第3者機関の監視。 高齢者の住宅政策としてはNPOへの間接的施策としてA, B, C, Dを分離させて、別法人のNPO(非営利団体)に分離発注、競争入札ないし、補助金支給の競争化を通じて、有効な費用対効果、つまりサービスの質向上、入居者の満足度を確保する事、QOLの確保をめざしている事が確認できた。 この調査で得られた最大の市民参加策として全米各地域で15年以上の実績があるNPO『Rebuilding Together』、『Meal on Wheel』がある。前者は低所得者の高齢者、身体障害者、母子家庭の住宅を無料で修繕、改修、改造工事を提供する。後者は連邦政府、企業などからの補助金、寄付、市民ボランティアの協力の協力を得て、高齢者世帯に栄養食を宅配するサービスである。スウェーデン、アメリカなど各国で最も重視する市民参加は痴呆性高齢者の在宅介護支援、地域内自立支援であり、栄養管理と住宅環境の整備が不可欠であると考えている。 さらに、同居する家族、介護にあたる配偶者(妻・娘・夫)のレスパイトケアに対する理解とNPOによる救済プログラムが不可欠であることも確認した。
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