研究課題
基盤研究(B)
13億の民を持つ世界最大規模の人口大国中国は、高度経済成長の真最中にある。過去24年において、GDP規模は8.8倍に拡大し、年平均経済成長率は9.5%にも達した。しかし、高度経済成長がエネルギー純輸入量の急増問題、環境汚染問題と生態破壊問題、二酸化炭素排出量の急増問題などを引き起こした。主な原因の一つは、エネルギー利用効率が低いことである。2000年現在、中国のエネルギー利用効率は、先進国の僅か60〜80%に過きず、省エネルギーの潜在力は低く見積もっても220Mtoe(石油換算百万トン)と推定される。部門部的にみると、潜在力の大きい順で、火力発電部門、化学工業、セメント工業、鉄鋼業、道路輸送部門などである。将来に関しては、中国が2030年までに年率7%弱の経済成長を維持する可能性は大きく、エネルギー安全保障問題や環境問題、二酸化炭素排出量の急増問題はさらに深刻化する恐れがある。2030年に、一次エネルギー消費量が現在の約3倍の2814Mtoeに、純輸入量は735Mtoeに、二酸化硫黄産出量は現在の2400万トンから6000万トンに、二酸化炭素排出量は世界最大規模の2374MT-C(炭素換算百万トン)に、それぞれ拡大する可能性が大きい。これらの問題を解決するために、中国自身の自助努力が最も重要である。エネルギー行政を全般的に司る総合エネルギー官庁を設置し、省エネルギーを最重要課題として推進する。同時に、再生可能エネルギー開発、国際的にすでに商業化済みの石炭クリーン利用技術の導入、石油備蓄の構築などを推進する。炭素税や、石炭液化と食料ベースの燃料アルコール化などについては、中国実情に合わせて慎重に検討する必要がある。国際協力、特に日中韓を中心とする北東アジアエネルギー共同体のような地域協力も必要不可欠である。北東アジア諸国は、優先順位が異なるものの、同様なエネルギー環境問題に直面している。そして、日本は世界最高レベルの省エネルギー技術や環境技術を持ち、資金力も高く、石油備蓄制度などエネルギー安全保障対策の経験やノウハウも蓄積されている。それに対し、中国は市場容量、コスト競争力や資源などの面で比較優位である。それぞれの比較優位性を生かし、補い合うように協調すれば、北東アジア全体の利益になる。クリーン開発メカニズムは北東アジア協力を実現する最も有効な手法である。
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