研究課題/領域番号 |
12573001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80182624)
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研究分担者 |
立松 健一 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (40202171)
関本 裕太郎 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (70262152)
岡 朋治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10291056)
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キーワード | サブミリ波 / 中性炭素原子 / 星間分子雲 / 銀河系 / 電波望遠鏡 |
研究概要 |
本研究では、可搬型サブミリ波望遠鏡システムを南米チリのアタカマ砂漠(標高4800m)に持ち込み、中性炭素原子のサブミリ波スペクトル輝線(492GHz, 809GHz)で銀河系主要部の広域観測を行なうことを目的としている。これによって、銀河系スケールでの原子ガス相から分子ガス相への「相変化」を捉え、銀河系のダイナミクスとの関連を調べる。 昨年度に引き続いて、平成13年9月から10月の間に、アタカマ砂漠における観測実験を行なった。前回の実験の経験を生かして、運搬時における望遠鏡システムの防振保護に配慮した結果、現地において望遠鏡は概ね動作することが確認された。 まず、星を用いた光学ポインティングによる望遠鏡指向の校正を行なった。その上で、492GHz帯受信機を用いて太陽の観測を行い、電波軸と光学軸のずれを求める方法を確立した。太陽のリムの観測結果から、望遠鏡のビームサイズは15.3分角と求められた。この値は設計値13.2分角よりもやや大きいが、許容範囲と思われる。また、大気放射の天頂角依存性を測定して、大気透過度を見積もった。その結果、492GHzにおける大気透過度は0.5-0.9であり、非常にすぐれたサブミリ波観測環境にあることが確かめられた。システム雑音温度は650-1000Kである。 次に、電波分光計までをつないでスペクトルの測定を行なった。周波数スイッチモードで動作させることにより、地球大気に含まれるオゾンの回転スペクトル輝線を感度良く検出できた。さらに、天体を追尾して中性炭素原子のスペクトルの検出を試みたが、時間が十分にとれなかったために、確固とした検出には至らなかった。 2回目の運用は、1回目の運用に比べて格段に進展したが、観測ソフトの整備や電波分光計の安定性、さらには現地での風除けの必要性など、新たな課題が浮き彫りになった。これらの問題点を克服し、次回の運用では中性炭素原子のスペクトル線の広域観測を実現する計画である。
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