研究分担者 |
湯元 清文 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20125686)
清水 久芳 東京大学, 地震研究所, 助手 (70302619)
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70242154)
藤井 郁子 気象庁, 地磁気観測所, 研究官
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研究概要 |
本研究は,中国東北部からロシア沿海州にかけての第四紀火山が広域に分布するアジア大陸東縁部において,電磁気長期観測を中国およびロシアの研究者の協力を得て実施し,同地域のマントル電気伝導度分布を解明する事を目的として3年計画で実施する. 中国東北地方におけるネットワークMTの観測では,昨年度の吉林省における観測に引き続き,今年度は遼寧省にネットワークを移動して観測を行った.観測は,主として中国側研究協力者である趙國澤教授(中国地震局地質研究所)らの研究グループによって行われた. 沿海州においては陸上長距離電話回線を用いた電位差観測が計画されているが,本年8月にはそのための予備観測を実施した.電話回線を長期的に観測に使用するためには特別な許可をとる必要があるために,実際の観測の開始は次年度に実施する予定である. 中国東北部におけるネットワークMT観測と,長春における地磁気3成分連続観測データを解析し,同地域のマントル深部電気伝導度構造を調べた.吉林省における4測線のデータは極めて良好であり,周期数日までの電磁気応答関数を高精度で決定する事ができた.この応答関数から,それぞれの測線について1次元電気伝導度構造をインバージョンによって推定したところ,およそ千キロメートルの深さまでの感度があることがわかった.4測線から得られた構造モデルは,全体にわたって同様の傾向があり,1次元モデルの信頼性の高さを示している.この結果を,北米大陸やハワイなどの結果と比較したところ,上部マントルと下部マントル最上部には有為な違いはなかった.一方,遷移層に対応する深さの電気伝導度は,本研究による中国東北部の下では他よりもほぼ1桁高いことが判明した.以上の結果はGeophysical Research Letter誌に速報として発表した.
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