研究課題/領域番号 |
12573006
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
立花 義裕 東海大学, 総合教育センター, 助教授 (10276785)
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研究分担者 |
山崎 考治 北海道大学, 地球環境科学研究所, 教授 (70270791)
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キーワード | オホーツク海 / 海氷 / アムール川 / 北極振動 / オホーツク海高気圧 / 淡水 / 水蒸気フラックス / 大気大循環 |
研究概要 |
オホーツク海に海氷が存在することの理由として「アムール川の河川水の流入」の影響が信じられてきた。この仮説を検証する事を目的として、1)ハバロフスクを訪問し、ソ連崩壊以降の未公開のアムール川流量データを入手し、海氷の変動とアムール川の流量変動の関係について調査し、流量変動と海氷変動の関連性を調べること。2)アムール川の流量観測の継続を気象局に委託し観測の継続を要請し、観測データを取得。以上が当初の研究計画であった。 過去の観測データの取得及び研究期間中の観測委託については当初の予定をほぼ達成することができた。観測結果及び過去のデータの解析結果は上述した説と全く反対であった。つまり河川流量が多い場合、冬期の海氷量は逆に少なくなる傾向にあることが分かった。この事実はこれまでの理論を覆す全く新しい発見であった。 海氷は直接的には冬季大気場の変動の影響を強く受ける。一方、アムール川の流量が最大の時期は夏期である。つまり、夏期の大気大循環の影響を受けて流域の降水や流出が決まる。これは、冬季の大気大循環と夏期の大気大循環に何らかの関連性があって、それに対する個々の応答がアムール川や海氷に現れたという解釈が可能である。我々はその点に着目して解析を進めた。その結果、冬季の大気大循環で最も卓越するパターンである北極振動(AO)と、夏期オホーツク海周辺で発達するオホーツク海高気圧に高い相関があることを見いだした。オホーツク海高気圧が発達すると、太平洋の水蒸気がオホーツク海高気圧の南側を回り込むように大陸へもたらされる。この結果大陸上の降水に変動をもたらし、アムール川の流量に影響することが判明した。このように冬季の気候シグナルが夏季の気候に対して影響を及ぼすことが解明され、この研究成果が、「オホーツク海高気圧の長期予想の可能性」を示唆された。
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