研究課題/領域番号 |
12573008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
地質学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
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研究分担者 |
角和 善隆 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70124667)
荻原 成騎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50214044)
棚部 一成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
狩野 彰宏 広島大学, 理学部, 助手 (60231263)
田沢 純一 新潟大学, 理学部, 教授 (50108453)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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キーワード | 炭素同位体 / ストロンチウム同位体 / ドロマイト / イラン / 中国 / 先カンブリア系 / デボン系 / オルドビス系 |
研究概要 |
前期古生代を対象として研究を始めたが、地球環境の変遷という視点からは先カンブリア時代後期からの移行も重要と判断し本研究に含めた。研究手法としては、1.イランおよび中国のいわゆる古テチスと呼ばれる地層を対象とした現地調査と分析試料の採取、2.薄片観察を中心とする試料の観察、3.炭酸塩および泥岩試料の化学分析、同位体組成分析による堆積環境の推定と生物の絶滅イベントの抽出、などを含む。調査地域と研究内容は多岐にわたり、全体の総合化と評価作業は現在も進行中であるが、個別研究についての要点は以下の通り。 1.先カンブリア時代末期の環境と進化について:中国南部の先カンブリア時代末期の堆積岩中に典型的な氷河性堆積物(DAIMICTITEマリノアン氷期)が発達、これを厚さ約4mのドロマイト層が直接覆う。ドロマイト層は全球凍結直後の炭酸塩(CAP CARBONATE)とされる。ドロマイト層全層の観察と分析から、この炭酸塩はメタンの影響による強い還元環境下、初生的ドロマイトからなるペロイドが深海に堆積して出来たものであることが分かった。炭酸塩堆積物と炭素およびストロンチウム同位体組成の変動関係から、ドロマイトの上位50mの炭酸塩中に氷期を示唆する同位体異状を見いだした。2回の氷期に挟まれる時代は黒色頁岩が卓越、頁岩中のチャートノジュール中には菌糸様構造など微生物組織が豊富に保存されていることが確認された。 2.中国およびイランで、デボン紀末期およびオルドビス紀-シルル紀境界の生物の大量絶滅と環境変動について調査を進めた。前者では従来の隕石衝突説を検証する一方、粘土鉱物組成や有機物量の変化、同位体変動から、温暖化に伴うガスハイドレートの分解が変動要因として重要であることが指摘される。後者については、今回新たな境界露頭を発見し黒色頁岩境界中に温暖化を示唆する炭酸塩が発達することを確認した。
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