研究概要 |
本研究は,台湾921地震で発生した山腹崩壊発生場所の地形立地解析,および動的解析をも考慮した地震時斜面安定解析,更には地震後の降雨により発生する山腹崩壊のメカニズム解析を行う.研究者らは,兵庫県南部地震による六甲山系の山腹崩壊を同様の視点で解析しつつあるため,これら六甲山系で得られた結果と,今回台湾で得られる結果との比較を行うことにより、より汎用性のある地震時およびその後の降雨による崩壊発生危険場所の予知モデルのための資料を提供することをも目的とする。 この目的達成のため,本年は平成12年7月、9月、11月、12月および平成13年2月の計5回台湾を訪問し、地震時に崩壊した場所が、その後の降雨により崩壊が発展するか否かを定点観測した。観測地点は台湾中部台中県の谷関地区と南投県の甫里地区とした.7月の第1次調査以降、台湾では台風の襲来により多くの降雨に見舞われたが、新規の崩壊発生ならびに崩壊地の拡大は、定点観測地点では認められなかった。その後、台湾の行政当局が撮影した空中写真を判読したところ、甫里地区では第1次の調査開始時点で平成11年秋の集中豪雨により崩壊が新規に,あるいは拡大していたことが明らかになった。このため、この地震後の降雨による崩壊のメカニズムを明らかにするため、12月の訪問では,簡易貫入試験の実施および簡易一面せん断試験を、また光波測距儀を用いた骨格測量を現地で実施した.さらに2月の訪問では、ビデオによる連続撮影画像を利用した三次元地形情報把握手法とレーザーミラー手法による現地測量手法により、それぞれの手法で甫里地区の数値地形モデルの把握を実施した。これにより地形情報と土質情報が得られた. 来年度は、台湾の40m数値地形情報と本年度に得られた2種類の地形情報を用いて、1)測量手法による数値地形モデルの精度の検討、および2)台湾での崩壊地地形立地解析をおこない、六甲山系で得られつつある結果との比較を行う予定である.
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