研究課題/領域番号 |
12574004
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研究機関 | 大同工業大学 |
研究代表者 |
下島 栄一 大同工業大学, 工学部, 教授 (80027276)
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研究分担者 |
玉川 一郎 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40273198)
堀内 将人 大同工業大学, 工学部, 教授 (00157059)
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キーワード | 西オーストラリア / 半乾燥地域 / 蒸発 / 塩類集積 / 水文観測 / 気象観測 |
研究概要 |
西オーストラリア・パース市より東へ80km行ったBakers Hillにあるオーストラリア科学産業研究機構(CSIRO)のYalanbee試験地で、蒸発 塩類集積の関係に関する水文・気象観測を行っている。今年度に得られた成果は以下の通りである。 1.水文観測について 地中の温湿度測定より、夏季では、水蒸気密度分布が深さ1〜5cm間で直線的に変化することが認められ、これより蒸発域の深さが推測できた。この直線が地表面と交差する際の水蒸気密度の値は、昼間の場合のみ、地面直上での同測定値より約2倍大きく評価された。この差異は地面に形成された塩クラストに起因し、水蒸気移動の抵抗がかなり大きい値を示すものと推測された。 夏季での土壌サンプリングより、主イオンであるNa^+、Cl^-の濃度は表面下で飽和に達し(NaCl水溶液とした場合)、それより下方の深さ6cm程度間で、指数的に変化するがことが分かった。この低減係数の大きさは塩類集積の程度を与えるが、この大きさと土壌の乾燥化の程度とが対応することが分かった。また、年間の塩分濃度と水分量の測定より、比較的表面付近では、塩分移動の生起が確認された。 2.気象観測について 気象観測データの解析より、地面の反射率(アルベド)は季節的な変化を示し、雨期の後半にはその値は0.4程度と非常に大きな値を、また乾期では低下して0.3程度を示すことが分かった。 同じく土壌の物理特性を示す温度拡散係数は0.008m^2/s程度の値を与えるが、雨期の降雨時にはほぼ25%低下した。この低下の時期は上記の高反射率の時期と対応するなど、土壌全体が湿潤化とその蒸発に伴う塩類集積を示唆する結果が得られた。 本2高度での気温、湿度の観測値を使ったBOWEN比による顕熱、潜熱の推定は十分な精度では困難であるが、凡その値は次の通り推測できた。春夏秋冬に関して、顕熱フラックス(W/m^2)31 50 24 14、潜熱フラックス39 36 24 17となった。これより、放射エネルギーの多い夏の潜熱の方が春より少ないという特徴的な結果が見られた。
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