研究課題/領域番号 |
12574007
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
岡田 恒男 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40013122)
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研究分担者 |
大和田 義正 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (70052826)
隈澤 文俊 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (60205169)
林 正司 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (80052885)
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キーワード | トルコ共和国 / RC集合住宅 / 方向性柱 / 曲げヒンジ / 安定限界 / 軸方向変形 / 層崩壊 / 耐震診断 |
研究概要 |
日本に比べて建物が容易に層崩壊あるいは全壊する例が多いトルコ共和国内の一般的なRC集合住宅について、構造特性、耐震性能の日本との比較検討と、崩壊の原因を検討し、同国の建物の補強方法を提案することを目的としている。第1段階として、地震被災建物の被害調査、被災地およびイスタンブール市内の実在建物の詳細調査、設計図書の収集と実際の建物との比較、建物・地盤の常時微動測定による振動特性の調査などを実施した。ここの建物は方向性の強い柱断面を持ち、耐震壁はほとんどなく、外壁、間仕切り壁や腰壁などは中空煉瓦を多用している。また、柱・壁の方向は、構造的考慮は無くデザイン的な理由に支配されている。1998年設計基準が改正されたが既存建物はそれ以前のものが圧倒的に多く、これらを中心に検討した。 日本の耐震診断基準を適用した結果、前述の構造特性から耐震性能指標値は極めて低いものが多かった。値が高いものも同基準が前提としている個別の部材特性が異なり、同じ指標値でも現実の性能は大きく異なることが予想でき、日本の診断基準を用いる場合は部材特性を根本的に置換することが必要と思われる。振動調査の結果は、外壁などのモルタルの損傷の有無により大きく性状が異なること、建物の多くが平坦な敷地に建てられておらずねじれ成分が含まれることが明らかとなった。 これらの結果に基づいて、建物の崩壊原因の検討に入った。1995、1998、1999年の地震被害の調査結果より、柱の損傷と崩壊状況から、曲げヒンジの生成後不安定となり崩壊に直結したと推定した。そこで実物と同じ材料および構造特性を持つ柱部材の高軸力圧縮下での繰返し曲加力実験を実施した。その結果、帯筋間隔、変形進行速度と柱の安定領域の限界に関連があり、その後急速に軸方向変形することが推測できた。今後は与条件を変えてその関連を追及し、これを基に適切な補強方法の検討を進める。
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