研究課題/領域番号 |
12574009
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野口 孝博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10113599)
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研究分担者 |
森下 満 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10091513)
西村 伸也 新潟大学, 工学部, 教授 (50180641)
月舘 敏栄 八戸工業大学, 工学部, 教授 (50124897)
池上 重康 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30232169)
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キーワード | 中国 / 北方地域 / 住宅計画 / 住様式 / カン(〓) / 瀋陽市 / 農村住宅 / 集合住宅 |
研究概要 |
本年度は最終年度に当たるため、中国東北地方の住宅・住様式調査の最終予定地域にあたる遼寧省藩陽市における実態調査及び研究の取りまとめ作業を行った。はじめに実態調査について説明する。調査は8月にまず予備調査を実施して農村、都市それぞれの対象地域・住宅の選定作業を行った。9月に本調査を実施した。本調査は中旬の1週間を使い、日本側は北海道大学・新潟大学、八戸工業大学のスタッフ10人、中国側は大連理工大学、瀋陽建築工程学院、瀋陽工業大学のスタッフ8人の総計18人で行った。瀋陽市近郊の農村地域において60年代以降の農村住宅10数戸を、また瀋陽市内の高層集命住宅20数戸をそれぞれ対象にして、訪問面接による住宅・住生活の観察記録調査と居住者へのヒヤリング調査を実施した。農村住宅調査においては、伝統的なカンの使われ方と住様式の詳細が明らかになったほか、朝鮮族の住宅においてオンドルの影響を受けたカンの実態を把握することができたのは大きな成果である。また集合住宅調査においては、中国特有の主臥室とベッドの使われ方についてユニークな住様式の特性を明らかにすることができた。さらに本年は12月に補足調査を実施し、瀋陽市内の日本時代の住宅の住様式の動向を追跡できた点も大きな成果であった。瀋陽の資料を含めて、初年度の大連調査、2年目のハルビン調査の成果と合わせて、中国東北地方のカンを中心とするユニークな住様式の実態と住宅の近代化の過程でなお伝統的な住様式の影響を残す集合住宅の居住実態について総合的に取りまとめを行った。これたよりアジア北方地域の住様式と住空間原理の一端を明らかにすることができたのはたいへん大きな成果であり、同時に日本の北方地域における、これからの住宅計画のあり方について有効な示唆を得ることができたのも意義がある。
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