研究課題/領域番号 |
12574011
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
萩島 哲 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70038090)
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研究分担者 |
大貝 彰 豊橋技術科学大学, 建設系, 助教授 (10160433)
趙 世晨 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (80304848)
有馬 隆文 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (00232067)
鵤 心治 山口大学, 工学部, 助教授 (30264071)
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キーワード | 印象派 / 都市的風景画 / 都市景観 / パノラマ景観 / シークエンス景観 / 仰角 / 視点場 |
研究概要 |
本年度は、19世紀ヨーロッパ印象派の視点場を探索し、視点場と視対象の空間的特徴を検討した。主な内容は、次の3つである。 1.まず、19世紀ヨーロッパの都市的風景画の視点場調査を行い、視点場空間め特徴や視対象の特徴を調べた。「まちの全貌を見渡す景観」、「シンボリックな建造物の景観」、「道路と建築のパースペクティブな景観」、「道路と河川のパースペクティブな景観」、「河川とまちなみの景観」、「港湾の景観」の6つの代表的な典型的構図に分類して調査した。その結果、視点場、視対象の特徴をまとめると、その視点場の多くは、道路の交差点やその近傍のオープンスペースであること、視対象は、まちなみのスカイラインを特徴づける教会が仰角10度程度で望めることがわかった。そのような空間を確保・整備すれば、その場所から通りの方向などを見る「絵になる景観」を得ることができることを明らかにした。 2.次に、ピサロが描いた都市風景画にしぼりその視点場空間を調査した。その結果、ピサロは、特定の地点から多数の絵画を描いており、それらを左右に絵画をつなぎ合わせると、パノラマ的な景観となる絵画を描いていることがわかった。このような景観を可能にした視点場は、港湾や広場に面した建物の上階、河川沿いに面した建物の上階、河川沿いに面した建物の上階であることを明らかにした。 3.ユトリロが描いたモンマルトル地区の絵画46点を調査した。ユトリロは、モンマルトルという小地区内の市街地景観を繰り返し描いている。この描かれた構図には、地区景観を考える上での特徴があり、視点場と主な視対象までの距離は、300m以内の近景、その仰角は、10〜20度であることを、シンボリックな建造物景観では、仰角20〜30度であることなどを明らかにした。さらに、それらの視点場をむすびつける散策ルートを提案した。それを辿ると、そこには空間的リズムがあり、歩きながら連続的に「絵になる景観」がえられることを示した。
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