研究概要 |
本研究では、地滑り津波の発生機構の解明および解析手法の確立を目的とし、非地震性津波の発生する可能性のある地域を評価する手法を提案することを目指している.対象地域は地中海沿岸であり,ここでは非地震性津波の多くがエーゲ海を中心とし歴史的なイベントが多い.今年は1999年トルコ・イズミットでの沿岸地盤沈下などが観測されたマーマラ海を対象領域とした.この地域で昨年10月に2週間に渡り沿岸部(合計7カ所)での津波堆積物調査を実施した.その結果,北西部のSarkayで津波堆積物を発見した.現在,その堆積成分・構造,年代を測定している.また,この地域での歴史的な津波のシミュレーション検討を開始し,特に,沿岸地滑りによる津波の規模の評価を進めている.そこでは,海底・沿岸地滑りの動的挙動モデルを考慮した数値シミュレーション手法を開発しかつ数値解析を実施して、沿岸での津波高さを推定することを視野においている.また,モデルの基礎検討として,地滑りが流下し水表面に突入し,津波を発生する状況の水理実験も実施し既存のモデルとの比較を通じて,改良点(底面摩擦,拡散項,界面抵抗)を整理した.また,移動床の水理実験も同時に実施しており,陸上部に堆積する土砂のトラップ条件と水理量との比較検討を行った.津波の遡上後,引き波で砂が戻る前に,トラップ装置を落下させ,砂の移動がないように工夫し,陸上部において,詳細に堆積量を測定することが出来た.この結果を元に,移動床数値モデルの開発を行う予定である.
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