研究課題
基盤研究(B)
本研究では、山地から河川さらには河口域という水系を一貫した形で捉え、総合的な水・土砂管理と災害防止のあり方を考究した。ジャワ島のセマラン流域、ブランタス流域、スマトラ島のトバ湖流域を主な対象地域として、山地から河川さらには海岸(湖沼)への水・土砂の移動のメカニズムを調査した。さらに、過去の気象・水文・海象観測データと社会環境データを収集して、こうした物質移動と人間活動・土地利用変化との関わりを調査し、洪水や土砂流出による河床変動・河口変動に伴う災害発生のメカニズムを明らかにするよう努めた。海外共同研究者と現地における共同観測、日本における共同研究、情報交換を行い、以下のような成果を得た。●セマラン流域:中部ジャワに存在するこの流域は、急峻な斜面、侵食しやすい土壌を有している。しばしば発生する豪雨による洪水と海岸域への土砂流出の問題を解決するための基礎調査を行い、特に海岸域における環境悪化、海浜の侵食とその有効な対策について資料収集を行うとともに、海浜流のシミュレーションモデルを構築した。●ブランタス流域:火山及び山腹斜面の開発農地からの土砂流出、河道・河床の変形、ダム貯水池の深刻な堆砂の問題を解決するための豪雨・洪水と土砂災害を予測する分布型モデル、河道流解析モデルを開発し、その精度向上を行った。●トバ湖流域:スマトラ北部に位置するトバ湖は、インドネシアで一番大きい湖(琵琶湖の2倍弱)であって、1957年〜1998年のデータによれば、ここ数年、有効流入量の減少、湖水位の低下が著しい。この原因を明らかにするため、超音波センサーによって湖底標高・形状を詳細に調査するとともに、水収支モデルの構築とその検証を行った。●上記の他、中部ジャワのセマルー火山の山腹斜面の地形、土砂、土石流の現地観測を行い、土砂流出、土石流発生のメカニズムについて調査検討を加えた。
すべて 2003 2001
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