研究分担者 |
赤松 純平 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10027279)
盛川 仁 鳥取大学, 工学部, 助教授 (60273463)
清野 純史 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00161597)
三村 衛 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00166109)
本田 利器 京都大学, 防災研究所, 助手 (60301248)
|
研究概要 |
1999年トルコ・コジャエリ地震におけるアダパザル市の災害状況の原因を究明するために,深層地盤構造調査として重力探査と微動観測を,浅層地盤特性を対象としてボーリング調査とPS検層を実施した. 深層地盤構造調査から以下の結果が得られた. (1)サカリヤ(Sakarya)大学のある山体とアダパザル方向への平地との間の重力急変帯があり,逆断層的な構造が想定できる. (2)盆地北部を東西方向に横切る急変帯が見いだされた.しかし,これには対応する地形的特徴は見られず,純粋に地下構造を反映したものと考えられる. (3)微動観測から得られた結果は,重力探査の結果と調和的であった. (4)これらの結果,深層地盤構造によって地震動のフォーカシング現象によってアダパザル市域の地震動が大きかったことが予想される. さらに,浅層地盤を対象とした調査から以下の結果が得られた. (1)地盤工学会1次調査団速報にある「液状化地域」,「非液状化地域」とも,緩い砂層は存在せず,いわゆる液状化は発生していなかった可能性が高い. (2)アダパザル市全域で,1m程度の表土の下は,N値5〜10程度の軟弱な粘土あるいはシルト質粘土が厚さ4〜8m分布し,その下はN値50以上の密な砂または礫まじり砂が分布している.さらに深度12m程度以深は,N値20程度の堅い粘土層である. (3)PS検層による表層地盤のせん断波速度は「液状化地域」では100m/sec以下の値が得られたのに対し,「非液状化地域」では100m/sec以上であった. (4)これらのことから,アダパザル市全域で表層地盤の変化はそれほど顕著ではなく,被害のコントラストの原因は浅層地盤ではない可能性がある.
|