西オーストラリア乾燥地に生育する樹木の電気接地抵抗の調査・研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12574021
• 研究機関: 信州大学
• 研究代表者: 山浦 逸雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (70191202)
• 研究分担者: 山田 興一 信州大学, 繊維学部, 教授 (10260499)
• キーワード: 西オーストラリア / 乾燥地 / 樹木 / 樹根接地抵抗分布 / 等価半径 / 樹根接地インピーダンス / 樹根電極 / 活性

研究概要

前年度までの研究成果発表のため、5月下旬に米国アンカレッジで開催されたIEEEのIMTC-2002国際会議に出席した。その後、7月期と11月期に西オーストラリア内陸部のレオノラに2回、9月期と3月期に西海岸近くのツーロックスとコリーに2回赴き、測定を継続している樹木について実験を行った。さらに各サイトにおける測定樹種と測定本数を若干増やした。測定には学生も同行した。前年度までに問題のあった、根の等価半径算出における大地比抵抗の測定については、対象樹木の根を測定用通電電極の一つとする新しい方法を試み、さらに、測定電極間距離をいろいろ変え、その影響をみながら最適距離の検討を行った。まだ、明確な結論は得ていないが、従来の金属電極のみによる方法よりはよい結果が得られるものと考えられ、今後の推移を見守ることとした。個々の対象について、研究開始当初からの測定データをみると等価半径の変化よりは、接地抵抗そのものの変化の方が比較的安定に測定できていることが分かったので、今までの測定樹木について、幹半径に対する接地抵抗の分布を調べた。その結果、接地抵抗は幹半径の増加に従って減少する様子が明らかになったが、バラツキは大きく、最大で1桁近くあった。日本における樹木との比較を、3樹種、5本で行ったところ、日本の樹木の方がやや低めの分布を示した。この違いは同じ幹半径に対して根がよく発達しているというよりは、本邦の大地の水分量が乾燥地より多いためと考える方が妥当である。とすると、同じ幹径に対する乾燥地と非乾燥地における根の発達状態には、余り差異がないと推定される。今年度は旱魃が激しく、内陸部の樹木は葉の緑も薄くなり、幹も痩せ細るものがあった。これを接地インピーダンスの形でみるとリアクタンス成分の減少に特徴があった。逆に、これを指標とすれば根の組織の活性を評価できるのではないかと考えられた。

研究成果

• [文献書誌] I.Yamaura, K.Tanaka, M.Yajima, N.Takahasi, K.Yamada: "An Estimation Method of Ground Resistance of Trees Growing in Different Lands"Proc. of the 19^<th> IEEE Instrumentation and Measurement Technology Conference. Vol.2. 949-952 (2002)
• [文献書誌] 福馬 均, 田中京子, 山浦逸雄: "樹木の接地抵抗測定における幹電極配置に関する検討"電気学会論文誌C. Vol.122-C, No.7. 1159-1165 (2002)
• [文献書誌] 山田美紗子, 田中京子, 矢嶋征雄, 山浦逸雄: "植物の生長に伴う根の接地抵抗変化-複素等価半径-"電子情報通信学会技術研究報告. Vol.102, No.341. 1-4 (2002)
• [文献書誌] 山浦逸雄, 山田美紗子, 田中京子, 矢嶋征雄, 高橋伸英, 山田興一, 福馬 均: "西オーストラリア半乾燥地に生育する樹木の接地抵抗"電子情報通信学会技術研究報告. Vol.102, No.341. 5-8 (2002)
• [文献書誌] 山田美紗子, 山田京子, 山浦逸雄, 高橋伸英, 山田興一: "半乾燥地に生育する樹木の根の接地抵抗分布"日本エム・イー学会甲信越支部長野地区シンポジウム講演論文集. 28-29 (2003)
• [文献書誌] 福馬 均, 田中京子, 山浦逸雄: "樹木の根の接地抵抗評価法"電気学会論文誌C. Vol.123-C, No.3. 629-630 (2003)
• [文献書誌] Yamaura, M.Yamada, K.Tannaka, M.Yajima, N.Takahashi, K.Yamada: "Vector locus of an Equivalent Radius of the root in growing plants"Proc. of the 20^<th> IEEE Instrumentation and Measurement Technology Conference. (予定). (2003)